Category: Fiction
Length: 480ages / 16hrs and 15 mins/ about 148800 words

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Difficulty: 
Story:
Can't-sleep-degree:
Romance-packed-degree:
Mystery-packed-degree:

2017年英語読書日記 No.2(耳読書No.2)376冊目 

Jodi Picoultの最新作です。この人の作品を読むのはすごく勇気がいります。中身も濃いですが、重さもなかなかある。ページターナーでもありますが、たいてい軽く読める作品ではなくて、読むときはちょっとした覚悟で読み始めることが多い。テーマが全く軽くないです。

今回のテーマはズバリアメリカでの人種差別。今だからこそのテーマとも言えます。ちょうど大統領選がたけなわのころが描写されていて、今後の動きに対して何かを示唆しているともとれます。これは今までで一番果敢なテーマかもしれません。今までもホロコーストをはじめ、できれば触れずにおきたいテーマにあえてメスを入れるような、しかもそのメスがドラマとして読み始めて話が面白くてのめり込んでいくものの、

切り口が深い。

でも、裏切らない。読んで本当によかったと思えたお話でした。

幼いころから成績優秀で、エール大学を卒業して同じ病院で20年のキャリアを持つベテラン看護婦ルース。何人もの出産を助けて、誰からも信頼の厚い優秀な看護婦だった。夫がアフガニスタンへの兵役で亡くなったあと、女手一つで息子のエディソンを育てていた。エディソンも成績優秀で、大学進学を身近に控えていた。

ある日、生まれたばかりの赤ちゃんの世話をしていると、なぜか赤ちゃんの両親の様子がおかしい。病室を後にした後に、父親がすごい血相で責任者に掛け合った。

「あの看護婦が二度とうちの子供に触らないようにしろ」

その言葉に主任の看護婦はカルテにメモを書いた。「有色人種の看護婦はこの赤ちゃんの世話をしないこと」産婦人科病棟に有色人種はたった一人しかいない。ルースだけ。

彼女は黒人女性で、かけあった両親はWhite supremacist=白人至上主義者だった。

いきなりのこの出だしです。このあともローラーコースターのように話が展開します。しかし、ピコー女史、一筋縄ではいかないツイストです。

主人公は3人。出だしのあらすじの黒人女性ルースと、白人至上主義者ターク、そしてルースの弁護を請け負った、公選弁護士ケネディ。3人の視点で物語が展開します。

これはフィクションですが、法廷シーンはハラハラドキドキします。それに、言葉の綾でこんなに人の人生が翻弄されるなんて、私としてちょっと信じられないほどでした。やはりアメリカは裁判の国。しかし、自分が今までで読んだりした中でも、この話の法廷シーンは臨場感溢れていて、聴いていて思い出したのが、これ、
これの法廷シーンもなかなかでした。その他にトムクルーズとジャックニコルソンの火花が散る法廷シーン、そう、「ア フュー グットマン」のシーンを思い出してたら、実際に小説でもそれをたとえていて、にんまりしてました。

この本を読んでよかったのは、「見えない差別」「口に出さない差別」をうまく前面に押し出しているところです。人は無意識に差別をしている。本を書くにあたって、人種差別について家庭で子供と話し合うかと著者がいろんな人種の人にきいてみたところ、白人家庭では、あえて口にしないことを選んでいることがほとんどで、逆に黒人家庭では「毎日する」という回答を得たというようなことを言っていました。

「私は差別しない」という人ほど、実は強い差別感、優越感を隠し持っている場合も多い。それはどこの国でも起こっていることだと容易に想像できます。それをあえて口に出すことで、気付きを与えようとしているこの本はすごく勇気があり、読んで自分に問いかけることができる本だと思いました。人種に限らず、いろんな差別もあてはめることができるとも思いました。

話のオチはこれまたどんでん返しが待っていてすごい展開です。医療過誤、人種問題、偏見など、いろんな問題を定義しながら、ドラマをこんなにも盛り上げて、こんな風に終われる、エンタメとも取れる話運びに毎度のことですが舌を巻いた私です。

凄さはそれだけではなくて、著者がいろんな立場の主人公、人種とクラスの違う3人の主人公をまるでその人の中に入ったように話を運んでいき、どの人の気持ちも一瞬わかるなと思わせるのはさすがです。

私がこの著者の話を読むのは確か4冊目です。一番心奪われた物語はこれ、
もう、時を忘れてあっという間にきき終わりました。体が痺れるような感覚を持った覚えが。本当に上手いと思いました。

もう一つ、付け加えたいことがあります。この人の作品をaudibleで聴くのは本当にお勧めです。audibleの完成度もかなり高い。語り部ごとにナレーターを変えて、たいてい3人ぐらいの声でドラマのような展開を楽しむことができます。

難易度レベルは3つにしましたが、会話文も多くて、聴きやすい方だと思いました。

タイトルは最後まで悩んで、キング牧師が言った言葉を引用したそうです。Small great thingsを重ねていく人生でありたいですよね。

やっぱりすごいよピコーさん。

ああ、物語っていいですねえ。

超おすすめ。

さて、次はミステリーです。難易度レベル★1つにした、これまた速く読めた作品です。

読んでいただきありがとうございました。